植物、作物栽培で最も難しいのが、
「落ちこぼれ」をつくらないこと。
長年栽培やっていると・・・このことが誠に難しいことを思い知らされる。
そういう自体に必ず直面する。
大切な、貴重な株が・・・・手塩にかけてつくってきたのに・・・落ちこぼれてしまう。
特に貴重な「交配親」でこういうことが起きると、
新しい交配が出来ないことになる。
それが・・・何年か後に・・・・蘭園の存続の危機を招くことになる。
ラン栽培で最も深刻な危機はこの場面である。
原種を輸入して右から左に売りさばく商売は、
換えて言えば・・・このリスクを回避したものとも言える。
趣味、プロを問わずラン栽培には・・・必ずこのリスクが伴う。
ランのような多年草植物では、この落ちこぼれが特に深刻である。
大面積になるほど深刻である。
この問題を蘭界では今も未解決である。
ただ、メリクロンという技術が出てから、次々に若い株で更新することが可能になった。
鉢物ではまるでランを一年草のように考える。
メリクロン苗を入れて3,4年栽培して全ての株を出荷する。
まるでブロイラー生産のようにである。
このやり方は大量の消費という需要があるラン、植物で可能である。
若い揃った苗を導入すれば、比較的落ちこぼれが少ないからである。
なぜかといえば、若い株は光合成が旺盛だからである。
ラン菌の棲息していない用土で植えても、花まで落ちこぼれを少なくして製品率を高くすることが出来る。
植物工場などは葉物野菜がほとんどで、この落ちこぼれを少なくする効率追究のシステムである。
これを四季の変化を必要とする多年草の野菜で行えば、恐らく植物工場は成立しないかもしれない。

植物工場で採算が取れる作物、植物は限られているということである。


このリスクの最大の要因は「用土」にある。
ほとんど養分を含まない用土に植えて、肥料で作る栽培は、
必ず・・・身体を持続できない事態が起こる確率が非常に高い。
ラン友会に所属して勉強している人でもそうなのだから、
まして、一般の人がホームセンターから買った鉢などは、
ほとんど「落ちこぼれ」の状態になる。
いつの間にか・・・日本の園芸は・・・・枯れて当たり前のようになった。
電化製品も壊れて当たり前。
だから買い替え需要があるではないか!
そういう商売の視点での園芸になってしまった。
ランの値段がここまで下落すれば、
枯れても・・・ほとんど胸の痛みはない!
それほど愛着があるわけでもない。
ちょっと手を伸ばしただけ。
そんな園芸、ランになってしまった!
消費者の目線でみれば・・・・一番高いのがコチョウラン!
花屋さんのラッピング技術代。
ランの中では・・・最も枯れて消費!・・・されるランが・・・最も高いという認識。
なんか、ラン栽培がバカバカしくなって、ランから去っていった人もいるようである。
しかし、ランの美しさは値段の下落とは関係なく不滅であろう。
しかし、本当にランを大切に育てている人は、
この落ちこぼれに苦労する。
水ゴケで栽培する限り、この落ちこぼれを防ぐことが出来ない。
光合成で充分エネルギーを賄えるのは・・・・株が若い内である。
この状態を何十年も持続させるのは、日本の平地での栽培では、本当に難しい。
株の老化は、別な言葉で言えば「光合成減退」だからである。
この減退対策でランはラン菌と共生したのである。
ラン菌と共生出来ないランは、光合成減退の対策がない。
それで落ちこぼれが発生する。


この落ちこぼれをなくす栽培と、品評会、蘭展で賞を取るのとは別物だからややこしい。
趣味の皆さんの手塩にかける一点豪華主義のラン栽培と、
温室全体の株を落ちこぼれなくするのは・・・全く別物。
面積が大きくなるほど、落ちこぼれのないようにするのに悩むことになる。
ラン栽培において、この悩みは・・・ラン菌による炭素循環エネルギーに起原があるから、
ラン菌削除の栽培では永遠の悩みになる。
菌根植物を植物工場で栽培するようなものだからである。
植物工場で栽培出来る作物は非常に限られている。
レタスでも結球するものはほとんど作れない!
それと同じシステムでランをつくるのだから・・・難しい!
だからこそ・・・ランつくりの人は・・・・高いプライドを持つ。
これが・・SUGOI-neで無造作にド素人から作られたのでは・・・
そんなランつくり・・・面白くない!
ラン愛好会プライドの高い女性の人から・・・一刀両断にSUGOI-neが切り捨てられた。
本当のこといえばウオーレスの言葉ではないが、
この世のランは・・・人間の愛好のためにあるのではない!

ランつくりに特別な技術が・・・門外不出の技術でもあるのだろうか???
人間でカバーできない部分はラン菌の力を・・・素直に借りれば無造作に作れる。
手塩にかけてつくるラン栽培なら、これから若い人が寄り付かない。
蘭界の大きな問題が横たわる。
落ちこぼれをつくらないことである!

そういうことで、この講座は出来るだけ詳しく記述している。
若い人が蘭界の落ちこぼれにならないようにするためである。
落ちこぼれを・・・つくらない
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